実務の一方で、伝えるために手を動かす、描いてみる、という授業を週に一度受け持っています。
コミュニケーションをとるためには、何らかの方法で思いや考えを相手に伝えるのですが、具体的に理解してもらうためには、言葉をつくし、それとはっきりわかるように伝える効果的な手段が必要です。
私たちのまわりには、とてもたくさんの方法やツールがあり、使いこなしさえすれば本当に便利。しかし、伝えたいことには優先順位があるはずで、その要点の伝え方にも個人差があります。自分なりの伝え方を持つことが大切で、その選択肢を試したり、トレーニングしてみたりする機会があると良いですね。
誰でも取り組める「絵を描く」というひとつの方法。少しでも的確に伝えるヒントがあれば、自分の良さを生かしてそのスキルを使うことができますよね。
そんな思いで、「建築スケッチ」という授業を受け持って3年目になりました。視点や消失点、パースペクティヴのポイントや着彩を少しだけ伝えています。「あ、そうそう、そうでしたねー」ということも、学生たちに教えながら思い出すこともあります。3時間を超える長丁場の授業なのですが、最後のチャイムがなるまで取り組んでる学生もいるくらいです。鉛筆をナイフで削り、直線と正方形・立方体を描くことから始まる毎回の授業は、課題を使ったコミュニケーションのトレーニングなのかな、と思っています。
そしてたまには、外に出て村野藤吾の遺作をスケッチしたり。
半年経つと上手に描けるようにもなってくるし、モチベーションも上がるみたいです。単位もちゃんともらえるし、コミュニケーションに大事なこともなんとなくわかってくるし、、、こんなことも建築の入り口になったら良いなあ、と学生と一緒に育つつもりでやっています。(H)